こんにちわ誌

2019年12月号
大腸憩室症が増加しています。     副院長 二宮克彦

 今回は大腸憩室についてのお話です。大腸ポリープは耳にする機会が多いと思いますが大腸憩室を皆さんご存じでしょうか。憩室(けいしつ)とは大腸壁の一部が腸管外に袋状に突出した状態を言います。便秘などで大腸の内圧が上がると、腸管壁の弱い部分が圧に負けて外に飛び出し袋状に膨らみ憩室となります。近年非常に増加した疾患ですが、食生活の欧米化による食物繊維の摂取量減少や高齢化が原因とされています。

 大腸憩室があっても大部分は無症状で特に治療の必要はありませんが、憩室に便がはまり込み細菌感染を起こし憩室炎になると腹痛、下痢、発熱などの症状が出現します。放置すると膿瘍(うみが貯まる状態)を形成したり、穿孔(壁に穴があく)を生じることがあり早めの受診が必要です。軽症では食事制限と抗生物質の内服で大部分が治癒しますが、重症例では入院が必要となります。絶食にして抗生物質の点滴治療をおこないますが、穿孔し腹膜炎を生じた場合は外科手術が必要になる場合があります。

 大腸憩室の重大な合併症としてもう一つ、憩室からの出血が挙げられます。腹痛や発熱などの症状を呈することは少なく、突然の血便で発症します。多くは入院し絶食と点滴により自然に止血しますが、出血量が多い場合は高度の貧血やショック状態となり緊急処置が必要となります。その場合大腸カメラによる止血を試みますが、多量の出血のため出血部の確認ができない場合は、輸血や緊急手術を余儀なくされる場合があります。

 大腸憩室は症状さえ無ければ治療の必要は無く日常生活に制限はありませんが、怖い合併症を引き起こす場合もあり決して侮れない疾患です。合併症の予防には食物繊維を含む食物を多く摂り、水分を十分に摂取し便秘を起こさないように努めることが大切です。

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