がん治療中の患者さんによりそう病院を目指して 副院長 小野仁志(こんにちわ2025年2月号)

わが国では、1981年以降「がん」が死因のトップとなり、毎年増え続け、2023年には全死亡者数に占める割合は24.3%となっています。最新の統計では、国民の2人に1人が「がん」に罹り(かかり)ますが、男性の4人に1人が、女性の6人に1人が「がん」で亡くなる状況であり、がんサバイバーは増加しています。※国立がん研究センター「がん情報提供サービス」最新がん統計のまとめデータによる
当院はがんの早期発見を目指して、がん検診や人間ドックに力を入れています。また、5大がんのうち、特に胃がんや大腸がんに対して、患者さんの身体に負担の少ない低侵襲(ていしんしゅう)な、内視鏡的処置や手術を積極的に行っております。また、乳がんの早期発見や治療にも注力しています。
西条中央病院は、2024年11月に愛媛県より愛媛県がん診療連携推進病院に指定されました。さらに、2025年1月からは、日本乳癌学会専門医制度認定施設に認定されました。また、従来より日本がん治療認定医機構研修施設の認定を継続しており、さらなるがん診療の充実を目指しています。
今後、がん患者さんの診療支援を強化していく方針です。突然に、がんの告知を受けた場合、当然戸惑いや混乱が起こります。患者さんの心理状態を考慮しながらも、精確な病状説明と選択すべき治療方針の説明やご自身の選択する方針を尊重する必要があります。がんに対する信頼性の高い治療方法を標準治療と呼びます。これは平均的な治療ではなく、最も治療効果が期待できる証拠(エビデンス)に基づき現時点で最良と考えられる治療法のことです。がんの標準治療は、集学的治療といって、手術、抗がん剤などの薬物療法、放射線治療などを組み合わせて行うことも多いです。治療スケジュールや方法など、一言で説明できないことも多く、疑問が浮かんだ時に応じて、適時適切に説明を行う必要があり、相談しやすい環境を整備します。主治医や担当科ナースにはもちろん相談できますし、患者支援相談窓口でも気軽に相談できます。
これからも一層、「がん治療中の患者さんによりそう病院」を職員一同自覚し、診療してまいります。
副院長 外科 小野仁志