前立腺肥大症治療の新たな選択肢 泌尿器科医長 鈴木良輔(こんにちわ2026年9月号)
前立腺肥大症は前立腺体積の増大によって頻尿や残尿感、尿が出づらいなどの症状を呈する疾患です。その頻度は高く50歳代でおよそ半数の人に肥大がみられ、年齢とともに増加して80歳代では80%を超える人に肥大が認められるとされ、肥大に伴って実際に排尿に関して困りごとが増えてくることが多くなります。重症になると残尿が増加して尿が出なくなったり、腎機能が悪くなったり、尿路感染症を起こすこともあり、そうならないように状態に応じて治療を行います。
治療の基本は薬物治療になり、前立腺による尿道の圧迫を緩和する薬や前立腺体積を小さくする薬を内服します。しかし、薬物治療を行っても症状改善が思わしくない場合や、尿が出なくなってしまうような重症の場合は手術が必要になることもあります。手術方法にはいくつか種類がありますが、基本的には下半身麻酔や全身麻酔を行って、尿道から手術用の器械を挿入し、肥大した前立腺を削ったり、くり抜いたりして尿道の圧迫を解除します。薬物療法と比べて症状の改善効果は非常に大きくなりますが反面、薬物療法と比べて侵襲が大きくなってしまうため、1週間前後の入院も必要になったり、合併症のある患者さんでは手術が難しいこともあります。そのため、より低侵襲な治療が望まれていましたが最近、薬物療法と従来の手術治療のちょうど中間に位置付けられるような治療が日本でも保険適応で行えるようになってきています。行う施設によって若干の違いはありますが、どれも数日程度の短期間入院で、30分以内の手術時間で行えるような内容です。当院でも施行可能なように準備を進めておりますので、薬物療法から手術まで興味があればご相談いただければと思います。
泌尿器科医長 鈴木良輔