気胸(ききょう)について 外科 副院長 小野 仁志(こんにちわ2026年4月号)
胸痛を伴う疾患として、心筋梗塞や狭心症などの心疾患が代表でありますが、肺が原因で胸痛をきたすことがあります。肺炎などの炎症性疾患でも胸痛を起こすこともありますが、今回は、肺に小孔があいて、空気が胸腔内に漏れることが原因で起こる気胸を紹介します。
気胸を起こす原因としては、以下の3つが挙げられます。まず、肺尖部(肺の上部)にブラという破れやすい風船のようなものができ、ブラが破れることからおこる「自然気胸」。続いて、永年にわたる肺疾患などで、肺の繊維化などが進行し、破れやすくなって起こる「続発性気胸」、もう一つは、外傷などにより肋骨骨折などを伴い肺が損傷して起こる「外傷性気胸」です。出血を伴う「血気胸」の場合もあります。
気胸の診断は、胸部写真により行います。聴診器で聴診すると、気胸側の肺音が減弱していることが多いです。原因の特定を行う場合は、胸部CT検査が必要となります。
重症度は、立位(立っている状態)の胸部写真で判定し、Ⅰ度(軽度)は虚脱した肺先端が鎖骨より上、Ⅲ度(重度)は肺尖部が鎖骨より下で肺が虚脱している場合、Ⅱ度(中等度)はその間です。Ⅱ度以上の気胸は、局所麻酔下に、細い管を胸腔内に挿入し、持続的に脱気を行う胸腔ドレナージによる入院治療が必要です。ドレナージの管を延長して、低圧持続吸引器という装置で胸腔内に漏れた空気を吸引し、肺の拡張を補助します。小さなブラ破裂や肺損傷であれば、ドレナージにより改善、治癒することもあります。
しかしながら、1週間以上空気の漏れが続く場合や、一旦治癒した後に再発した場合、特にブラが原因とはっきりしている場合は手術治療が選択肢となります。
手術は、全身麻酔により、胸に3ケ所の小さな穴をあけ、胸腔鏡を用いて、ブラを含む肺を部分切除するものです。
病院で緊急に処置を要する肺の疾患として、ご記憶いただければと思います。
外科 副院長 小野 仁志