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2021-03-01

こんにちわ2021年3月号 潰瘍性大腸炎という病気について  放射線科 主任医長 吾妻佐奈江

 潰瘍性大腸炎は大腸粘膜に炎症が起こり、びらんや潰瘍ができる炎症性疾患で、腹痛や激しい下痢、血便等の症状が生じます。完治が難しく、国が難病に指定しています。よくマスコミにも取り上げられていましたが、安倍晋三前首相の持病でもあり、耳にはしたことがある病気ではないかと思います。この病気は、1970年代ではまれな疾患とされていましたが、その後増加し続け、現在国内では約22万人に上ると考えられています。以前は欧米に多い病気と言われていましたが、現在日本は米国に次ぐ世界で2番目に潰瘍性大腸炎患者数の多い国となっています。発症年齢のピークは20歳代ですが年齢を問わず発症します。急速な人口の高齢化を反映し高齢期になって初めて発症する患者数も増加傾向にあることが明らかにされいます。

 潰瘍性大腸炎を発症する原因ははっきりと解明はされていませんが、遺伝的要因、腸内細菌の働きや自己免疫反応の異常、食生活の変化等さまざまな要素が複雑にからみあって発症すると考えられています。

 診断は、問診で、下痢の回数や便の状態、血便の頻度、腹痛の程度、発熱などの症状の経過や病歴の聞き取りを行い、その後、血液検査と便検査によりほかの感染症がないことを確認します。最終的に、大腸内視鏡検査により潰瘍の形態や大腸のどの範囲までどの程度の炎症が起きているかを調べた後に粘膜の一部を採取して病理検査(採取した組織の一部を顕微鏡などでより詳しく観察する検査)を経て確定診断を行います。

 治療は内科的治療が主体で、腸の炎症を鎮め、症状をコントロールするための薬物治療が中心となっています。潰瘍性大腸炎には、炎症が起こって症状が強く現れる「活動期」と、症状が治まっている「寛解期」があり、活動期には炎症を抑えながら寛解をめざす治療が、寛解期には寛解を長く維持するための治療が行われます。長期に潰瘍性大腸炎にかかっていたり炎症の範囲が広い患者さんは大腸癌のリスクが高くなることも知られています。寛解を長く維持して炎症を抑えることは大腸癌のリスクを低下させるためにも重要なことであり、症状が治まっていても毎日の服薬を欠かさないことが大事です。

 上記症状でお悩みの方、気になる方は、病院を受診し相談していただければと思います。

 

放射線科

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