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2013-10-19

西条中央病院ニュースVo.l13 糖尿病診療の変遷と動向 糖尿病内科 藤原正純

 糖尿病の加療はご存じの様に以前は主としてSU剤、ビグアナイド剤そしてインスリンしかございませんでしたが、この15年で大きく進歩し、選択肢も増えました。低血糖になり難いビグアナイド剤、α‐GIs、TZD、インクチン製剤(DPPIV阻害剤、GLP-1製剤)、2~3時間のみSU受容体に結合し、β細胞の惹起経路を刺激するグリニド製剤が揃い、原則として、低血糖を来さず食後の糖を下げる手段が最低4剤ございます。本来ならば、この4剤を自由に組み合わせて糖の低下を図り、ヘモグロビンA1Cが充分に下がれば望ましいのですが、β細胞に作用しない薬剤とβ細胞の増幅経路を刺激する薬剤を組み合わせる必要もございます。又、早期にインスリンを外来導入し、SMBGも同時に指導を行い、患者自身にご自身の糖の値を見て考える指導も重要でございます。何の為に何処の糖を下げる為にインスリン導入を行うのか、自分で考える事が大事でございます。インスリンも現在はヒューマン‐リコンビナントの製剤を使用する事は先ずなく、専らインスリンアナログの時代に入りました。超速攻型インスリンアナログ製剤は、ヒューマログ、ノボラピッド、アピドラがございまして、それぞれ特性が異なります。使い分けも重要でございます。ヒューマン‐リコンビナントR製剤は亜鉛を中心に6量体を構成しておりますが、前2者は、亜鉛を残したままより2量体に近く、アピドラのみは亜鉛が無く単量体の状態でございます。勿論、皮下注射後の血行動態は3種類とも大きく異なります。遅効型インスリンアナログ製剤も主はランタスでございましたが、現在トレシーバが登場し大きく変わろうとしております。持続時間の長さ、夜間低血糖の頻度でもトレシーバはより優れた製剤でございます。皮下注射後に6量体のインスリンが約1000個結合し、フェノールが離れ、亜鉛が外れると同時に単量体のインスリンが血中に吸収され、その後99%がアルブミンに結合し、残りの1%がフリーの状態で効果を発揮します。導入後3日、2週間、3週間と細目な単位の調整は求められますが、従来のランタスよりも使用単位数を減らせますし、安定性は優れます。DPPIV阻害剤との組み合わせで超速攻型インスリン製剤が離脱出来た症例も数多く経験しております。まだ2013年3月世界同時発売でございますので、1回の受診で1本しか処方出来ませんが、寧ろ、その方が今は安全でございます。デバイスもフレックスペンからフレックスタッチへと様変わりし、少しの力でも注入し易くなっております。まだまだ、血糖測定器の進歩、人工膵島の発展、今後出てくるSGLT-2阻害剤、GPR40製剤など話題には事欠きませんが私に許された文字数も終わりに来ている様でございますので、又、機会があればに致します。最後に使用可能な選択肢が増える程、使う医師の側に糖尿病学の基礎、力量、判断が問われます、使うのはあくまで人間でございますので。

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