大切な微量元素について 循環器内科 副院長 中村 真胤(こんにちわ2026年3月号)
狭心症は、心筋に血液を供給している冠動脈が狭くなり、十分な血液が送れなくなった時に生じます。これには従来、血管内に脂分が蓄積して物理的に狭くなる労作性(ろうさせい)狭心症と、普段は血管に問題はないが発作時に血管が痙攣(収縮)して狭くなる冠攣縮性狭心症の2種類があります。これらはニトログリセリンが有効なことが多いので、これまでニトログリセリンが効かない胸痛は狭心症ではないと考えられ、心臓神経症や肋間神経痛などと診断されることもありました。
しかし近年、持続的に胸が苦しくなる狭心症の症状を訴える患者さんの中には、微小冠動脈が原因となっている方がいることが明らかになりつつあります。微小冠動脈は心臓の血管の95%を占めると言われていますが、心臓カテーテル検査における冠動脈造影や冠動脈CTで見える冠動脈は、解像度の問題で心臓の血管のわずか5%に過ぎません。上記の検査で見えない0.3mm以下の細い血管に痙攣(収縮)や血管内皮障害などに伴う拡張障害が起こることが、微小血管狭心症・冠微小循環障害の原因と考えられています。
持続性の胸部違和感がある方でなかなか診断がつかず病院を転々とする方がおられます。特に女性の場合は、更年期にこのような微小血管狭心症が起こりやすいと言われています。女性ホルモン(エストロゲン)は血管の拡張と関係があり、閉経前後に急激に減少し、血管が攣縮(収縮)しやすくなり、胸部症状が起こると考えられています。
診断には、心臓カテーテル検査時の薬剤負荷(アセチルコリン)を行います。また薬物負荷し冠動脈を拡張させた状態で特殊なワイヤーを使用し、微小冠動脈の機能の測定を行います。
治療は内服薬による薬物治療、禁煙などの生活指導が中心です。持続性の胸部違和感がある方でなかなか診断がつかない場合は、微小血管狭心症・冠微小循環障害が隠れているかも知れませんので、循環器内科にご相談ください。
循環器内科 副院長 中村 真胤