歯並びのためにできること 歯科 児島さやか(こんにちわ2025年6月号)

歯並びや顎の状態は、見た目だけでなく、栄養のある食事を取ったりスムーズに呼吸をしたりするためにも重要で、生まれてから大人の歯が並ぶまでの習慣が大きく関わっています。
舌の正しい位置をご存じでしょうか。正しい位置は、上顎全体に触れている状態です。舌の位置が低いと受け口や小さい顎の原因に、舌で前歯を押していると出っ歯の原因になります。『舌 正しい位置』で検索すると画像が出てきてイメージしやすいと思います。また、頬杖をつくと歯並びや顎がゆがむ原因になります。俳優やモデルが頬杖をつく姿はかっこよく見えますが、日常的には控えましょう。
口で呼吸をしていると、唇が前歯をおさえる力が弱まり出っ歯などになりやすいため、唇を閉じて鼻で呼吸をしましょう。鼻がつまっている場合は、「迎香」「睛明」などのツボを押すとすっきりすることもあるようです。どうしても鼻がつまる場合は鼻疾患がないか調べてもらいましょう。
子どもの歯(乳歯)は、大人の歯(永久歯)に比べて小さいので、永久歯が並ぶためには乳歯の歯と歯の間に隙間が必要です。乳歯の段階で歯が隙間なく並んでいると、永久歯は重なり合って生えてきます。顎の成長には母乳育児が望ましいですが、種々の理由で哺乳瓶を選ぶ場合もあると思います。生えてきた乳歯の間に隙間がない場合は、赤ちゃん用の噛むおもちゃ(歯がため)を噛んで顎に刺激を与えることで発達の一助となりうるでしょう。
離乳食も口腔周囲の筋肉を発達させる貴重な機会です。親が赤ちゃんの口の中にスプーンを入れて上顎にこすりつけるのではなく、赤ちゃん自身が上唇を使って食べ物をとれるようにすると、唇や舌を使って自分で食べ物を取り込み飲み込める位置まで運ぶ練習をすることができます。
顎の成長や歯並びは、唇や舌といった周りの組織や、噛む刺激などによって形づくられます。少しでも長く自分の歯でおいしく食べられるように、できそうなことから参考にしてみてください。
歯科 児島さやか