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2018-05-19

西条中央病院ニュースVo.l22 もっと母乳育児を応援したい! 産婦人科医長 吉田望

女性は出産すると母乳が出ます。ところが何の苦労もなく初めから十分量の母乳が出る方はわずかです。大多数は初めに多少の苦労とコツが必要です。母乳育児をしたい方に適切な手段と方法を伝授・支援して、当院では産後1か月健診時の完全母乳率80%以上を維持しています。しかし問題はその後も楽しく母乳育児を続けていくこと。世にあふれる間違った母乳常識で悩み苦しみ、母乳育児を早々に断念するお母さんが少なくありません。

 今回は医療従事者もきっと役立つ、産後1か月健診時にお話ししている内容の一部をそのままの口調で紹介します。母乳育児への理解を深め、応援してくれる方が増えていただけると嬉しいです。

 

(診察室に母乳育児中の産後1か月の女性が入室)

「○○さん、人生で一番忙しいこの1か月、お疲れさまでした。よく頑張りましたね。」

「(育児ノートを見ながら)母乳を1912回、赤ちゃんの体重も十分増えているし、十分母乳が出ていますね。乳頭や乳房にしこりや痛みはないですか?」

「あと1か月はこのままのペースの授乳になります。3か月ごろになるとやや間隔が空き3時間毎、18回程度の授乳になってきます。油断して4時間も5時間も空けておっぱいを張らせたままにしておくとあっという間に母乳が出なくなるので気を付けてくださいね。日中の間中、授乳しなくても母乳が問題なく出るには6か月程度かかりますよ。」

「それから、できれば2歳以上母乳を続けてください。WHOが言うには2歳以上母乳を続けると、この子が大人になってからの生活習慣病(高血圧・糖尿病・肥満)のリスクを下げる、という結果が出ています。1歳で断乳は早すぎますからね。6か月以降、栄養のメインは離乳食・幼児食に移っていきますが(工夫してバランスよく食べさせてくださいね)、免疫や精神安定に母乳の効果がずっと続きます。本人が『もう要りません』と言うまで続けて卒乳を目指してください。ちなみにヒトとしての卒乳の平均は4歳前後です。」

「体調が悪い時など、薬を使う時ですが、一時的な薬でダメなものはほとんどないです。ダメなのは抗がん剤、麻薬、一部の精神病薬くらいです。他はほとんど問題ないですからそのまま授乳してかまいません。ただ、多くの医師が『この薬飲んでいる間は授乳しないで』と無茶を言います。授乳しないでいるとおっぱいがカンカンに張って乳腺炎になるかピタッと出なくなるか、どちらにしても大変な目に遭います。薬のことで気になったときは授乳を止めずにお電話ください。調べてたいていの場合、大丈夫ですよ、となりますので。」

 【追記】授乳しても問題ない薬に関して、大分県薬剤師会の『母乳とくすりハンドブック』が非常に役立ちます。インターネットでも見られます(大分県 薬剤師会 母乳で検索を!)ので医療従事者は是非「この薬飲んでいる間は…」という前に使ってください。

最後に、母子に関わる方は『母乳育児学』という教科書をぜひ一読ください。

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