お知らせ

HOME > ドクターズコラム > 内科:入田 純 > 医療機関向け広報誌「まんなか」2025.11号 増加中の下肢末梢動脈疾患
2025-11-19

医療機関向け広報誌「まんなか」2025.11号 増加中の下肢末梢動脈疾患

 

インタビュー全文

Q1.プロフィールを教えてください

これまでの経歴 

松山市出身

2000年に愛媛大学医学部卒業後、同大学病院、松山赤十字病院で研修。さらに西条中央病院で2年間勤務した後、愛媛大学医学部大学院にて腎臓高血圧疾患の研究を行った。大学院卒業後は、引き続き研究に従事するとともに臨床、教育も行い、約10年間の愛媛大学病院での勤務後、2015年当院に赴任した。

所属学会
日本内科学会、日本循環器学会、日本心血管インターベンション治療学会、日本高血圧学会

資格 免許
日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本循環器学会循環器専門医・指導医

趣味
趣味がないことが特技です

Q2.循環器診療の中で、先生が現在特に力を入れている分野・技術は何ですか?

A:前任の愛媛大学医学部附属病院では腎臓高血圧診療及び研究に従事しておりました。当院に赴任してからは、その内容もがらっと変わり、西条市の中核病院として、内科一般、救急医療を担いつつ、循環器疾患を専門として、特に心臓血管及び下肢カテーテル治療に力を入れています。

Q3.末梢動脈疾患(PAD)の現状について、地域の患者さんの傾向や課題をどのように感じていますか?

A:末梢動脈疾患(PAD)は上下肢動脈疾患の呼称として用いられることが一般的ですが、当院では特に下肢閉塞性動脈疾患(LEAD)の治療に力を入れています。LEADを生じる原因疾患・病態は様々ですが、その中でも大部分を占めるのが動脈硬化性LEADです。高血圧症、脂質異常症、糖尿病及び喫煙は動脈硬化性LEADの発症リスクです。下肢の症状をLEADの症状と認識していないことをよく経験しますので、これらのリスク因子を有する患者には症状がなくても積極的検査を受けて頂き、LEADでなかったとしても動脈硬化の進行を予防・治療することが大切と考えます。

Q4.下肢PTA(経皮的血管形成術)の概要と、当院での実施状況・特長についてや、下肢PTAの実施判断について、保存療法との選択や介入タイミングの目安を教えてください。

A:患者さんが感じるLEADの症状としてはまずは間欠性跛行です。跛行を来す疾患は、LEAD以外にも腰部脊柱管狭窄症が有名ですが、鑑別には簡便に施行可能なABI検査が有用です。ABIが優位に低下している場合(0.9以下)、LEADの可能性が示唆されますのでご紹介ください。もちろんABI検査ができない場合も、跛行があればまずはご紹介いただき、場合によっては当院整形外科にも相談させていただきます。その後造影CTや下肢血管エコー等で、LEADの診断を確定させます。間欠性跛行を有するLEAD患者に対して、適切な運動療法や薬物療法を行い、それでも跛行の改善が不十分、もしくは不十分と予測される場合には血行再建の適応を考えます。さらに間欠性跛行にて、日常生活や重要な活動が阻害される場合も、血行再建の適応を考慮していきます。私たち内科医が行う血管内治療をEVTと言いますが、総腸骨動脈以下のLEADのほとんど場合、EVTが第一選択となります。狭窄または閉塞している場所にもよりますが、橈骨動脈等、上肢アプローチでの下肢EVT治療も可能であり、症例によっては当院でも積極的に行っており、術後の安静も少なく、患者の身体的負担の軽減も期待できます。EVT領域のデバイスの進化は目覚ましく、最近ではCROSSER(クロッサー)という毎秒約2万回転の振動にて石灰化を除去し、カテーテルを通過させるためのデバイスも導入し、治療成績の向上に努めています。その他、包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)という下肢虚血、組織欠損、神経障害や感染などの肢切断のリスクをもち、治療介入が必要な下肢病変を総称する概念ですが、安静時疼痛、下肢潰瘍や下腿または足部の壊疽などを認める場合も、EVTにて救肢が可能な場合もありますので、ご相談いただければと思います。

Q5.循環器診療の進化が続く中、地域における当院循環器内科の役割をどのように考えていますか?地域の先生方や医療機関へのメッセージをお願いします。

A:西条市の2次救急病院の中心として、積極的に救急車の受け入れを行います。その中でも特にACSホットラインなどを通じて、循環器疾患の医療に力を注ぎたいと思いますので、お困りの症例等ありましたら、お気軽にご相談ください。

受付時間

8:00~12:00/13:00~16:30

診療時間

9:00~/14:00~

休診日

第2・4水曜日午後、第1・3・5土曜日、日曜日、祝日


歯科は予約制、小児科、外科・眼科は一部予約制です。
予約・予約変更のお電話は、平日診療日の14時から17時にお願いします。

まずはお電話、
0897-56-0300