ミレーナの話 産婦人科主任医長 吉田 望(こんにちわ2025年10月号)

労働人口の減少・女性労働者の増加に伴い職場では女性特有の疾患について理解し対応を求められています。月経は一二~五一歳頃まで約四〇年間、つまり人生の半分にわたり女性に問題を起こす可能性があるものです。月経とは子宮内に発育し受精卵のベッドとなる子宮内膜が、妊娠しなかったために出血を伴って剥がれ落ち体外に排出されることです。つまり月経は妊娠を希望しない時期は不要なものです。この不要なものによって楽しめなかったり、辛かったり、恥ずかしかったり・・・、月経に人生を狂わされていることに気付かず我慢している女性がまだまだ多くいます。
□ 貧血を指摘され鉄剤を処方されている
□ 昼間に夜用ナプキンを使用してしまう
□ 普通のナプキン(21~22cm羽なし)では1時間もたない
□ 経血にレバー状(ゼリー状)のかたまりが混じる
これらは過多月経の症状です。正常の月経量は1周期全部で140mLまで、夜間も夜用ナプキンを使用しません。
月経痛は正常ならほとんどありません。毎回、鎮痛薬が必要なら月経困難症という病気と理解しましょう。我慢するメリットはないと考えられています。月経困難症の7割は子宮内膜症を発症します。※2025年ACOGのデータによる
『ミレーナ』って聞いたことありますか?
本体は子宮内に入れる3㎝超のT字型の柔らかいプラスチックです。内蔵された黄体ホルモンが最長5年間持続的に放出される子宮の中で作用する薬です。外来で挿入でき、過多月経・月経困難症で保険適応されます。ピルの飲み忘れや副作用が心配、通院回数を減らしたい、医療費を抑えたい方に好まれています。周りの方と自分の月経について話してみてください。意外と近くにミレーナ仲間がいますよ。
産婦人科 主任医長 吉田 望