こんにちわ誌

2017年5月号
ADPKD?     循環器内科 医長 入田 純

 常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)という病気を聞いたことがありますか? 2つある腎臓に大小様々な嚢胞という液体の溜まった袋ができて、加齢とともに嚢胞が増加増大し、腎臓の機能が低下する病気です。生涯、腎機能が低下しない患者さんもいますが、70歳くらいまでに半分の人が末期腎不全になると言われています。日本での透析導入患者の約3%を占めており、決して希な病気ではありません。

 この病気はPKD遺伝子の異常による遺伝性疾患であり、両親のどちらかが本疾患に罹患している場合、この遺伝子を受け継ぐ確率は50%です。男女とも発症しますが、両親がこの病気でなくとも、突然発症する場合もあります。自覚症状のない方から、血尿、腫大した腎臓による腹痛や腹部膨満感、健診での高血圧をきっかけに病気が分かることもあります。またADPKDには様々な病気を合併することが知られています。クモ膜下出血の原因となる脳動脈瘤、僧帽弁逸脱症のような心臓弁膜症、嚢胞感染、嚢胞出血などに注意が必要です。今まで治療は降圧薬を用いた血圧管理、積極的な飲水が主でした。

 しかし、2014年にADPKDの進行を抑制する治療薬としてバソプレシン受容体拮抗薬であるトルバプタンが使用できるようになりました。トルバプタンによりADPKDの進行抑制が期待できますが、その使用には「両腎容積が750ml以上」かつ「腎容積増大速度が概ね5%/年以上」といった基準があり、また副作用のことから、登録医による処方に制限され、投与開始には入院が必要となります。

 もし、ご家族の中に嚢胞腎によって透析を行っている方などがいらっしゃるようでしたら、一度自分の腎臓もチェックされることをお勧めします。

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