こんにちわ誌

2015年10月号
胃癌の予防はピロリ菌の除菌から         副院長 放射線科 二宮克彦

 胃癌は萎縮性胃炎を母地に発生し、現在では胃癌のほとんどがピロリ菌の感染によって生じることが明らかとなっています。ピロリ菌に感染すると、まず慢性活動性胃炎が生じ、その後萎縮性胃炎や腸上皮化生性胃炎に進行し胃癌の発生母地が形成されます。除菌治療は萎縮性胃炎を改善し、癌の予防効果があるとされ、ヘリコバクター学会のガイドラインではピロリ菌感染者のすべてに除菌療法を受けることが強く勧められています。

 ピロリ菌除菌による胃癌の予防効果についてはいくつかの臨床研究で確かめられています。胃癌を内視鏡的に切除した患者を除菌例と無治療例にわけて経過観察し、その後の胃がんの発生頻度を比較検討した研究では、胃がんの発生は除菌群で約1/3に抑制されたと報告されています。なお除菌治療は萎縮性胃炎の程度が軽いほど、また若年者であるほど効果的と考えられており、浅香らの報告では40歳未満で除菌すれば90%以上の胃癌の予防効果があると推定しています。しかし除菌により胃癌の発生がゼロになるわけでは決して無く、特に高齢者に多い高度の萎縮性胃炎においては、たとえ除菌に成功しても萎縮性胃炎の改善が十分に得られないため若年者ほどの胃癌の予防効果は無いと考えられています。

 現在ピロリ菌の感染者は3500万人程度といわれていますがその大部分は50歳以上の方です。10歳代のピロリ菌感染率は5%程度で、数十年後には胃癌は非常にまれな癌となると推測されていますがまだまだ先の話です。なるだけ萎縮性胃炎の程度の軽い時期に除菌治療を行い、除菌治療後も定期的な胃カメラ検査を受ける事が大切と言えます。

 

 

 

 

Copyright © 2017 西条中央病院 All Rights Reserved.