こんにちわ誌

2015年3月号
生理痛を我慢していませんか?               産婦人科 医長  吉田 望

 生理(月経)中に日常生活や学業・仕事に支障をきたしたり、鎮痛薬を服用しなければいけないほどの痛みがある場合を月経困難症といいます。通常、初経の頃は狭い子宮口に月経血を押し出す、子宮が強く収縮する痛みがあり月経痛がひどいこともありますが、年々痛みが緩和され出産を契機にさらに緩和されます。逆に、中高校生ごろから年々ひどくなる月経痛の場合は子宮内膜症であることが多いです。はっきりした病気がない月経痛を機能性月経困難症といいます。ところが機能性月経困難症の70%が現在あるは将来、子宮内膜症を発症するといわれています。

 子宮内膜症は月経で排出される子宮内膜に似た組織が子宮の内側以外に生着し、女性ホルモンの働きで増殖・出血する病気です。腹腔内(お腹のなか)に月経血が貯まるようになり、血液を放置すると固まるのと同様に、腹腔内臓器を固めていきます(癒着といいます)。症状としては月経困難、月経時以外の骨盤痛、性交時痛、排便痛などがあります。最も問題となるのが不妊症を引き起こしやすくすることです。不妊症の一番の原因は高齢(35歳以上)によるものですが、子宮内膜症の半数ほどが不妊症になるといわれています。

 子宮内膜症の原因にはいくつかの説があります。最も有力視されているのが卵管逆流説です。通常でも、卵管を掃除し妊娠しやすくするために月経血は卵管を逆流して腹腔内(お腹のなか)に入っています。この血液を上手に処理できる方と処理能力が落ちている方が体質的(遺伝的であるかは結論が出ていません)にあり、処理能力が落ちた方が残ってしまった月経血により子宮内膜症を発症するという説です。昔は初経年齢が遅く、月経が始まると比較的早く妊娠し出産・授乳していました。出産数も多くあり、さらに閉経年齢が早かったため生涯の月経回数が50回ほどだったようです。ところが現在は初経年齢が早く、晩婚・晩産、出産数は少なく閉経年齢も遅くなっており、生涯の月経回数が450回と昔の9倍に増加しました。そのため月経血が腹腔内へ逆流する回数が増え、昔は非常に珍しかった子宮内膜症を発症する方が激増しています。

 子宮内膜症および機能性月経困難症の治療は、数年前から治療薬が飛躍的に進歩し、副作用の少ない、経済的負担の少ない治療を行うことができるようになりました。生理痛くらいで・・・・、とためらわずに婦人科へご相談ください。また周りの方も生理痛ぐらい我慢しなさい、と言わずに婦人科受診を勧めてください。月経困難症を子宮内膜症になる前から治療することにより将来の不妊症を予防するだけでなく、月経困難による様々な悪影響から開放され、思い通りの生活が送れるようになってほしいです。

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