こんにちわ誌

2012年12月号
「前立腺肥大症の話」 透析センター長 泌尿器科 辻村玄弘

 前立腺とは、男性の膀胱の出口の尿道を取り囲むようにある、くるみ位の大きさで、精子が元気に泳ぎ回れるようにする液体を分泌する臓器と言われています。

 男性が高齢になるにつれ、この前立腺は多かれ少なかれ肥大し、また、敏感となり、頻尿、排尿困難などの症状を引き起こします。これを前立腺肥大症と言い、良性の疾患です。

 前立腺癌との根本的な違いは、前立腺が肥大しても、排尿さえスムーズに行えれば、あまり問題はありません。いくら大きくなっても、他の臓器に広がったり、転移することはありません。しかし、この排尿障害もゆっくり増悪しますので気がつかず、自分では出してしまったつもりでも、多量の尿が膀胱内に残っていることがあります。これを、残尿といいますが、「尿の回数が多い」「尿のしまりが悪い」「尿が出すぎる」などのう訴えで受診される高齢男性の多くに認めています。

 14~15年前までは、いい薬が無く、排尿困難となった多くの男性は、この前立腺の内側をはぎ取るか、削り取る手術が行われました。その後、αブロッカーという排尿をスムーズにする薬が開発され、手術を必要とする症例が減りました。

 しかし、この薬も、前立腺を縮小させる力は無く、前立腺部の神経に働いて、尿道の締りを少し緩め、前立腺の過敏性を弱め、排尿をスムーズにし、頻尿も改善することが出来るようになりましたが、前立腺が肥大していくのを抑えたり、縮小させる力は無く、一時改善しても数年すると症状の再発があり手術しなければならない人も多くいらっしゃいます。

 ところが2年ほど前に前立腺そのものを縮小させる薬が開発されました。患者さんに、新薬であることを説明し、同意を得たうえこわごわ処方してきましたが、効果も上々で学会での評判もいいようなので、さらに、手術を必要とする症例が減ることが、大いに期待できると考えています。

 

 

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