こんにちわ誌

2012年10月号
「MRI拡散強調像による癌の診断とスクリーニング」     放射線科 副院長 二宮 克彦

 今回は最近注目を浴びているMRIの拡散強調像について紹介させて頂きます。拡散強調像は体内水分子の拡散の程度の違いを画像化したもので、拡散運動の弱い組織が明瞭に写し出されます。主に脳梗塞の早期診断に不可欠の診断法として用いられてきましたが、多くの癌組織は拡散能が低下し拡散強調像で鋭敏に描出されることが分かり、近年は癌の診断にも活用されるようになっています。従来は撮影に時間がかかるため撮像範囲は局所に限られていましたが最新の装置では短時間で全身が撮影可能となり全身の癌スクリーニングへの応用が始まっています。

 癌の診断においてはPET(ポジトロン断層法)が非常に有力な検査法として有名ですが、拡散強調像はPETと同等の癌の検出率を示すと言われています。PETと比較した場合の拡散強調画像の利点は ①放射線被曝が無い ②薬剤の注射の必要が無く、副作用が無い ③検査費用はPETの1/7で通常のMRI検査と同じ ④検査時間が短い、等の点が挙げられます。また癌の転移についても高い精度で描出が可能です。拡散強調像では癌以外の病変も同じように描出される場合があるのが難点と言えるかもしれませんが、その際は他の撮像法で得られたMRIの画像との比較で大部分は鑑別が可能と考えられています。すべての癌が描出されるわけではありませんが拡散強調像は癌及びその病期診断において今後非常に有力な検査法になると期待されています。当院におきましても最新のMRIが導入され全身拡散強調画像の撮影が可能となり、今後積極的に活用し診療に役立てていきたいと考えています。

 

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