こんにちわ誌

2012年4月号
「関節リウマチの治療(魔法の弾丸)について」 整形外科部長 竹田治彦

「関節リウマチの治療(魔法の弾丸)について」

 関節リウマチは今から150年程前にあるイギリスの医師により提唱された膠原病の1つである全身性炎症性疾患です。今もなお多くの患者さんがこの疾患の治療を受けています。

 その治療は約100年前のアスピリンから始まり、1920年代からの注射金剤、1940年代後半からのステロイド、1970年代からは様々な疾患修飾性抗リウマチ薬が用いられ、1980年代からの免疫抑制剤(メトソレキサート)により治療は大きく進歩しました。

 さらに1990年代後半以降、関節リウマチの病態そのものの分子を標的とした生物学的製剤というものが登場してから「臨床的寛解」という言葉も生まれ、もはや臨床症状に悩むことのない患者さんも少なくないと言える時代になりました。

 関節リウマチにおける現在の生物学的製剤はある標的分子の抗体治療から始まりました。1890年、ドイツのベーリングと北里柴三郎は当時死亡率の高いジフテリアと破傷風に対する研究結果を発表し、血清療法という画期的な治療を見いだして今の抗体治療の布石を打ちました(ベーリングは第1回ノーベル生理学医学賞)。

 しかし、後のミルスタインらによるモノクローナル抗体産生の研究(1984年にノーベル生理学医学賞)はヒト化抗体の壁を前にしてすぐに臨床のもとに届くことはありませんでした。

 そして長きに多くの研究者により壁を越えた今日の抗体治療は「魔法の弾丸」と呼ばれ、今では多くの疾患に福音を届けられるようになりました。

 新しい扉を開いた関節リウマチの治療のもとには長い歴史に積み上げられた知識があることを私たちは忘れてはならないと思います。

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