こんにちわ誌

2011年7月号
「生と死について考えること」 内科部長 太宰康伸

「生と死について考えること」

 死は、誰もがいずれ直面する問題である。人の生と死に関わる医療従事者にとっては、特に避けて通る事のできない問題であるが、時に、死は忌み嫌われるもの、敗北とも捉えられて、十分な考察が行われないできたように思われる。本当にそうだろうか。医療の根幹にも関わることなので、私見を述べてみたい。

 生老病死について沈思黙考を極め仏教を起こした仏陀の、最も正当の教えが残された経典であるアーガマによれば、人の死後について、「この陰(おん)を捨て終わりて、異陰(いおん)相続して生ず。」とはっきりと説かれている。これは、生きているときの姿形がなくなっても、別の姿形となって存続していく事を意味している。更に、この異陰が、次の生の核となるとも説かれている。加えて、どういう形で生まれ変わっていくかは、前世と現生の行いによるとも説かれている。

 昨今、人生一度きりと思い、何をしてもよいと思っておられる方も多いが、この説によれば、そうはいかない。今の生き様が、次の生の原動力となるからである。この説を受け入れるかどうかは、あなた次第であるが、輪廻転生と思われる報告も増えてきており、また、死ねば何もなくなるということを証明した報告もなく、私はこの説を受け入れざるを得ない。

 では、この説が本当だとしたら、医療従事者は、どう関わればいいのか。問いかけは、今始まったばかりである。

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