こんにちわ誌

2009年3月号
「家庭血圧の重要性」 循環器科部長 松本有司

「家庭血圧の重要性」               

高血圧症に対し現在、多くの優れた薬剤が市販されています。我々内科医にとっては非常に有り難いことです。最近では朝一回の内服で、血圧が安定するばかりでなく、心不全の悪化や糖尿病の発症予防にも有効な薬剤もあります。我々は、多くの降圧剤の内から、患者さんの病状、合併疾患に応じ適した薬剤を選択し処方出来るようになり、おかげで以前に比べ本当に安心して血圧治療が行えるようになりました。

 しかし、血圧治療の本来の目的は動脈硬化の進行に伴う心血管合併症(特に脳梗塞、脳出血、心筋梗塞など)の予防であることを忘れてはいけません。すなわち、糖尿病、高脂血症、喫煙などの危険因子は血圧治療と並行して行うことが重要であり、またより厳格に治療を行うためにはすべての患者さんが自宅で血圧測定を行って頂くことが理想です。

 私もかなり以前から、自宅の血圧測定の指導を行ってはいるものの、実践して頂いている患者さんは、まだ半数足らずと思われます。自宅で血圧を測ることにより、日常本来の血圧を知ることができ、不要な投薬が減り過剰な降圧や不十分な降圧を回避出来ます。既に、一日一回のみの血圧測定でさえ、家庭血圧の方が診察室血圧よりも予後を予想するデータとして有用であることが証明されています。また、心血管合併症死亡の危険を最も減らすことが出来る家庭血圧値は、120-127/72-76 mmHgであるとされています。

 さらに家庭血圧の測定法の原則は、朝の場合は起床後1時間以内、排尿後、座位1-2分の安静後、降圧薬服用前、朝食前に測定することが推奨されています。皆さんも、これを参考に日頃より家庭血圧に興味をもち理解を深め、血圧治療を受けて頂きたいと思います。

 本年、わが国の高血圧治療ガイドラインが5年ぶりに改訂され2009年版が出版されました。我々内科医は、この血圧治療方針に基づき、各患者さんに適した治療方法を見つけ一緒に治療していきたいと思います。

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