こんにちわ誌

2007年12月号
「糖尿病の治療の恐ろしさ」 内科医長 藤原正純

「糖尿病の治療の恐ろしさ」

今回は糖尿病の治療の恐ろしさについてお知らせ致します。

 糖尿病は、相当な高血糖、例えば血糖値800mg/dl以上でないと症状が出てきません。食後の高い所での血糖値800mg/dlと言いましても、食前では250~300mg/dlの状態です。食前の血糖値の低い所を測定して何と無く、納得されていましても、食後の糖を目の当たりにして驚かれる患者も相当数おられます。

 そして問題は治療です。飲み薬で対応している間は軽症で、インスリンになると重症でこの世の終わりのように思っている方が多いのに私は驚いております。例えば、妊娠された糖尿病の患者はインスリンしか使いません。母、児ともに飲み薬で安全なものは1つもないからです。インスリンは正しく使えば、安全で有効です。

 よく私は、外来で、もしインスリンが飲み薬だったら、それでも嫌ですかと聴きます。多くの方は、飲み薬ならば、嫌ではありません、との返答です。それでは何が嫌なのですかと聴きましたら、注射が怖い、嫌なんです。それから周りの知り合いでインスリンを打っている人は、皆、重症で、やはり自分もこうなってしまったのかと思い、どうしてもインスリンに踏み切れません、と返ってきます。それは先ずインスリンそのものが嫌なのではなく注射という医療行為が嫌という事です。

 インスリンは蛋白質なので飲んでも胃で分解されてしまうので注射になっているのです。又、インスリンを導入する時期が遅すぎるので様々な合併症が進行してしまってから、あるいは飲み薬でも糖が高いのに飲み薬にこだわり、量が増え、膵臓がばててしまってから最後の手段としてインスリンが入るので、インスリンを使っている患者は重症のように見えるのです。
 
 飲み薬は確かに楽です。特に長く膵臓を刺激してしまうタイプのものは朝1回か朝、夕2回に何粒か飲めばよいのですから。しかし、そういうタイプの飲み薬は食後の糖を下げる力はありません。そして食前の糖を下げてしまい、1日の糖のながれのなかで高い所と低い所を繰り返すようになってしまします。

 大方の糖尿病の患者は1ヶ月に1回か2回の受診ですので1年などあっという間に経ってしまします。そして5年、10年と過ぎていきます。楽に飲み薬で対応している内にも日々、血管合併症は進行しています。そして何にも感じないのです。勿論、飲み薬の中にも膵臓を刺激しない作用のもの等、良い物もあります。が、糖が下がらない場合は速やかにインスリンにしないと結局は気がついたら合併症で苦しむ将来が待っています。インスリンの針も今は非常に細いものもあり痛みは以前より数段軽くなっています。

 さあ、あなたはどの道をえらびますか。

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