こんにちわ誌

2007年9月号
「心臓CTでわかること 後編  ―あなたの血管は大丈夫?― 」 循環器科医長 松本有司

「心臓CTでわかること 後編  ―あなたの血管は大丈夫?― 」

 前回に引き続き心臓CTの果たす役割についてお話します。我々臨床医が虚血性心疾患の診療にあたり掲げている当面の目標は、一人でも多くの狭心症患者を早期に見抜き、最善の治療を行うことです。これまでの狭心症診断の基本はカテーテルを用いた血管造影でした。しかし、そこには大きな落とし穴があり、前回述べたように動脈の壁の情報が描出出来ないため一見大丈夫そうに思われる血管も実は、壁にはたくさんの脂の塊(脂質コアといいます)がへばりついていることが多くみられます。そしてその脂質コアが大きくなり血管の破綻が生じると心筋梗塞を発症してしまいます(不安定化といいます)。すなわち、これまでは症状と血液検査データが危険度の予想材料だったものが、心臓CTの登場により視覚的に危険度が予想できるようになったのです。さらには、虚血性心疾患治療の基本は血管の壁の脂質コアを大きくさせないことであり、悪玉コレステロールを厳重に管理することの重要性を我々臨床医も再認識したのです。

 自分はどうもないのにと思っている人でも脂質の塊が見つかることがしばしばあります。特に、喫煙、高悪玉コレステロール血症、糖尿病、高血圧などの危険因子を複数を有する人は脂質コアが存在する可能性が高く要注意です。胸痛が出現しないうちに脂質コアが見つかった場合、担当の医師と相談して危険因子の厳重な治療を受けましょう。脂質を主とした動脈硬化病巣は適正な治療(主にコレステロール低下薬)により縮小することが証明されています。不幸にも心筋梗塞を起こしてしまった患者さんは、二度と辛い目に遭わないためにも徹底的な再発予防を行います。心筋梗塞の再発、新規発症の予測にもCTはしばしば用いられ絶大な威力を発揮します。

 心筋梗塞の患者さんの治療に際し、しばしば脳梗塞や下肢血行障害の合併に遭遇します。動脈硬化病巣は局所(心臓)で診断された場合でも、治療は全身の血管病巣(脳、腎臓、下肢など)を想定して行われなければ無意味です。心臓病から皆様を守るためには、適切な時期に適切な治療を行うべくCTに代表される非侵襲的な検査は極めて有用です。

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