こんにちわ誌

2007年6月号
「心臓CTでわかること 前編 ~突然の心筋梗塞を予防するために~」 循環器科医長 松本有司

 循環器疾患の診断にもCTはなくてはならない検査となってきています。当院でもCTは、1日に何十人もの撮像を行っていますがそのうち心臓、特に狭心症、心筋梗塞といった冠動脈疾患の診断に重要な役割を担っています。

 これまで、心臓の検査といえば、外来で、心電図、超音波検査が主であり、運動負荷を行わない限りは、これらの検査で初めて重大な狭心症が発見されるということはなかなか有りませんでした。すなわち、安全性の高いスクリーニング検査としては不十分と云わざるを得ませんでした。

 心臓CT検査では、造影剤の点滴行いながら撮像します。造影剤を使うことによって大きなメリットが有り、これまで他の検査(カテーテル検査も含め)では描出出来なかった血管の壁の情報も正確に描出できます。壁の情報とは、いわゆる動脈硬化の程度(狭窄の程度)とその部位の危険度いわゆる心筋梗塞に移行する可能性の高さ(医学的に動脈硬化病変の脆弱性といいます)を意味します。特に後者の情報は、治療を受ける患者さん側には勿論のことですが我々治療を行う側にとっても極めて重要な情報なのです。

 心筋梗塞は、血管の狭窄が強ければ強いほど起こりやすいわけでは有りません。その発症の予測、予防に重要なのは、血管の壁の質的情報すなわち脆弱性です。狭窄が軽く狭心症をほとんど自覚しない人でも、動脈硬化病変(プラークといいます)が脆ければ突然心筋梗塞を発症してしまいます。実際、心筋梗塞発症の7割以上がこのような突然の発症機転をとるといわれており、働き盛りの男性の心臓突然死の原因として極めて重要なのです。

 欧米でも、このことが啓蒙され今年から心臓CT検査が保険適応となりました。既に、我が国を含め先進国では、心臓CTは「一科(循環器科)に一台の心臓専用マシン」として位置付けされつつあります。

 次回は、心臓CTを用いた狭心症、心筋梗塞の予防と治療方法について説明致します。

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