こんにちわ誌

2006年12月号
「衣食足りて」 産婦人科 西村哲一

「衣食足りて」

 今年もまた、何時、冬になったか分からないままに師走の訪れです。温暖化は確実に進んでいるようです。世界的気候変化と一緒かどうかは分かりませんが、世の中の人の心にも非情とも言える変化が起こっているように感じられます。毎日、ニュースにならない事が無いくらい、親殺し、子殺し、いじめと目を覆うような事件が続きます。

 “衣食足りて礼節を知る”という言葉があります。昔は貧困や飢餓から人と人が傷つけあい殺しあう事が多く、その二つが充分に満ち足りさえすれば、人は人の道をわきまえるものだといった教えでしょうか。今は“衣食足り”どころか飽食の時代といわれ、街中には、ありとあらゆる物が満ち溢れています。そんな世の中に何故、こういった事件が増えてくるのでしょう。今の人間は富めば富むほど心が飢えてくる、としか理解できません。

 礼節とは人が育むべき八つの徳、“仁、義,礼、智,信、忠、孝,悌”からなり、夫々、親子、兄妹、知人、友人、上下の関係など社会一般の人と人を結びつける愛情を示したものです。親が子を思う心、子が親を慕う心、そういった全ての愛の根源が仁、“全てのものを慈しみ思いやる心”です。昔のほうが全てに貧しくとも、そういった思いやりの気持ちは残っていたような気がします。衣食足りた今、何故、礼節を失ってしまったのか、クリスマスのケーキを前にもう一度、親子の血の温もりを手始めに、身近な礼節を確かめるのも一興かもしれません。来年こそは、明るい話題が一杯の年になりますよう・・

 いいお年をお迎えください!

Copyright © 2017 西条中央病院 All Rights Reserved.