こんにちわ誌

2001年7月号
「軽い?糖尿病」に御用心!」 内科 田中清宜

「軽い?糖尿病」に御用心!」

 日本の糖尿病患者数が700万人といわれて久しくなりますが、京都大学附属病院の昭和21年から33年の13年間で、糖尿病患者数は77人しかいなかったそうです。ところが、今や地方都市にある当院でも、内科の1年間の入院患者(平成11年)のうち糖尿病と診断されている人は、300人を優に超えております。
 一方、糖尿病といわれて病院に定期通院している人は310万人で、残りの400万人近くの人は無治療で放置されているのです。そのひとつの理由に次のような興味ある報告があります。
 内科医を対象としたあるアンケートによると、初めて患者さんに糖尿病であることを告げるのに「軽い糖尿病」という先生が少なくないというのです。本来、軽いか否かは、糖尿病合併症の有無、薬物療法の必要性または血糖値の程度で判断されます(実際のところ、定義はありませんが)。しかし、このアンケート結果では、担当医側の多くが、「食事療法だけで十分コントロールできる程度の血糖値である」ことを意図していたのです。これに対して患者さん側には、このことが「軽いから大丈夫」と受けとめられてしまい、以後の通院の中断・放置につながっていたわけです。私の経験でも思い当たることがよくあります。健診で空腹時血糖値が200mg/dl以上もあるような人が、心配になって外来を受診すると、数年前に「軽い糖尿病」と言われたが放っておいたと。
 私たち医療者は、説明不足により糖尿病が放置されている状況を反省しなければなりませんが、もし、皆様の周りでもこの一言を耳にされたなら、今ひとつ御注意願えればと思います。

内科医長  田中 清宜

Copyright © 2017 西条中央病院 All Rights Reserved.